しみの種類と治療法
2020.06.17 更新
しみ治療は美容皮膚科領域において最もメジャーな治療の一つです。レーザーでパチっと照射すればすぐに取れる、と思われている方もいらっしゃいますが、しみと言ってもいろいろな種類がありその診断によって治療のアプローチは様々です。そして肌には複数の種類のしみが混在していることが多く、しみ治療には経験と工夫が必要です。まずもっとも重要なのは診断です。以下に代表的なしみについて説明します。
目次
雀卵斑(そばかす)
幼少時より、顔面、頸部、前腕などの露光部にできる3mm程までの類円形の褐色班として認められます。原因
夏季、紫外線により色が濃くなり冬季に改善する。家族にも同様の雀卵斑を発症する方が多く遺伝との関係も原因の一つと考えられています。治療
日焼け止めを使用し紫外線から肌を守りましょう。ビタミンCの内服も効果的です。
おすすめの治療
Qスイッチレーザーで一個ずつ的確に照射するか、ダウンタイムの少ないフォトブライトフェイシャル(IPL治療)かレーザーフェイシャルで全体を照射するか選択します。肝斑
30歳以降の女性に多く、頬を中心に淡褐色斑が左右対称に認められます。額や口周りにも認められることがありますが眼瞼周囲には認められません。原因
紫外線、摩擦などの物理的な刺激が増悪因子です。妊娠を契機に発症することがあり、性ホルモンの関与が考えられます。治療
トラネキサム酸、ビタミンC、ビタミンEの内服日焼け止めの使用、擦らないスキンケアを指導します。美白効果のあるハイドロキノン、ルミキシルの併用も効果的です。
おすすめの治療
各種ピーリングは新陳代謝を促進して肝斑を薄くします。またトラネキサム酸、幹細胞美容液などの有効成分をイオン導入、エレクトロポレーションなどで肌に直接導入してメラニンの生成を抑えます。プラズマやレーザートーニング(フラクショナルQスイッチルビーレーザー)はメラニン色素に穏やかに作用し、周囲の組織にダメージを与えることなくメラニンを選択的に破壊します。
老人性色素斑
中年以降の男女に出現する。主に顔や手背、腕などの露光部に様々な大きさの境界が比較的明瞭な褐色斑。一部は脂漏性角化症(老人性疣贅)に移行します。原因
経年的な紫外線の暴露が原因です。治療
日焼け止めを使用し紫外線から肌を守りましょう。ビタミンCの内服も効果的です。
おすすめの治療
Qスイッチレーザーの良い適応があるシミです。1週間は濃い痂皮ができその後改善していきます。小さなものはフォトブライトフェイシャルでメラニンを的確に捉えていきます。
色素性母斑
褐色、時に常色の色素斑または盛り上がりのある腫瘤。毛が生えているものもあります。小型のもの(1.5cm以下)はほくろ(黒子)と呼ばれほとんどが後天性です。1.5cmから20cmのものは黒あざと呼ばれ多くは先天性で頭頸部に後発します。直径20cm以上のものは巨大先天性色素性母斑と呼ばれます。
原因
一般には遺伝と関係なく、神経堤由来の母斑細胞が異常増殖することによります。治療
悪性黒色腫※1との鑑別が問題でありダーモスコピー所見が有用。長径6mmを超える掌、足の裏にあるものや、比較的大きなものは悪性化のリスクや整容的な側面から切除(手術)を基本とします。良性の小型のものは、炭酸ガスレーザーの良い適応となります。※1悪性黒色腫とは悪性黒色腫はメラニン色素を作り出すメラノサイトが癌化して発生する皮膚癌です。人種差があり、白人で発生が最も多く、日本人は10万人あたり1~2人とされています。
おすすめの治療
Qスイッチレーザーの良い適応があるシミです。1週間は濃い痂皮ができその後改善していきます。小さなものはフォトブライトフェイシャルでメラニンを的確に捉えていきます。
扁平母斑
いわゆる茶あざと呼ばれる色素斑で体のさまざまな部位に扁平な茶色の色素斑として認められます。扁平ではなく点状に認められることもあります。生まれながらに認められるものと思春期ごろに認められるものがあり、生まれたときに6個以上このような色素斑がある時は、レッグリングハウゼン病※2のことがあります。※2レッグリングハウゼン病とはレッグリングハウゼン病は神経線維腫症I型(NF1)ともいい、カフェ・オ・レ斑、神経線維腫という皮膚の病変を特徴とし、そのほか骨、眼、神経系などに様々な病変を生じる遺伝性の病気です。
治療
Qスイッチルビーレーザー、Qスイッチアレキサンドライトレーザーを照射すると一定の割合で消失したり軽快したりしますが、再発率も高く認められます。レーザーの種類によって保険の適応があります。おすすめの治療
炎症後の色素沈着
やけど、ニキビや傷、虫刺され、かぶれなどによる炎症が起きた後に跡がすぐに消えず、シミになって色素沈着したものを「炎症後色素沈着」と言います。原因
肌に炎症が起きたときはメラノサイトが刺激されて黒色メラニンが生成されます。その黒色メラニンが正常に排出されず、肌に残ってしまったものがシミとなってあらわれます。一般に、肌の炎症が治まって赤みがひいた後にシミがあらわれ、紫外線は炎症後の色素沈着を悪化させます。治療
時間の経過とともに軽快していきますが、擦ってしまったり紫外線に当たったりすることで、シミとして定着してしまうこともあります。日焼け止めを使用し、ビタミンCなどの美白効果や抗酸化作用のあるサプリの内服も効果があります。美白効果のあるハイドロキノン、ルミキシルの外用もおすすめです。
おすすめの治療
プラズマや各種ピーリング、ビタミンCなど有効成分の導入、レーザートーニングなどはシミとして定着させないよう美白に働きます。千春皮フ科クリニック監修
当クリニックでは今まで医師として得た様々な経験を活かして地域医療の貢献に努めたいと思っておりますので、お気軽にご相談ください。